医療と経済 2014 11 16

 昨日、アメリカの医療について書きましたが、
これは、日本人にとっては、わかりにくいと思います。
 たとえば、ちょっとした手術でも、
アメリカでは、数百万円もかかってしまう場合があります。
 そういうわけで、アメリカで多い「自己破産」とは、
医療費が払えなくて自己破産するケースだと思います。
 このようなことを書くと、
なおさら、日本人には、わかりにくいと思います。
 なにしろ、日本では、
政府が、手術代どころか、あらゆる治療行為について、
その価格を決めているからです。
これは、全国統一の価格です。
しかも、低価格です。
その上で、国民皆保険制度になっています。
 これは、患者にとっては、
全国のどこの病院に行っても、同一料金で、
しかも、金銭的な負担は、少ないということです。
 一方、医者から見れば、
どんなに優秀な医者でも、
どんなに下手な医者でも、
料金は同じになってしまい、不満があるかもしれません。
 これは、アメリカから見れば、社会主義のように見えます。
経済学の法則からすると、
優秀な医者にかかれば、治療費は高くなり、
下手な医者だったら、治療費は安くなるでしょう。
問題は、医療に経済学を持ち込んでいいのかということになります。
 昔、日本では、「ブラックジャック」という漫画が大ヒットしました。
主人公の医者は、極めて優秀な外科医でしたが、
手術をしてくれるかどうかは、お金次第だったのです。
つまり、保険診療ではなく、自由診療だったのです。
 実は、今から数十年前には、似たような話が現実にありました。
今でこそ、すべての病院や診療所は、保険診療となりましたが、
昔は、自由診療の病院や診療所があったのです。
 私の故郷でも、そういう病院がありました。
私が小学生の頃でしたので、昔話になってしまいますが、
腕自慢の医者が、自由診療をやっていました。
 子供の私が病気になった時に、
父親が心配して、自由診療だが、腕の立つ医者に診てもらったことがあります。
父の「お金がかかってしまった」という言葉を思い出すことがあります。
 日本の「国民的な合意」は、
治療費も薬価も安い方がよいということだと思います。
 治療費が心配で、高度な経済活動ができなくなるなんて、おかしい。
あるいは、病気になることが心配で、
高度な経済活動に専念できなくなるのは、おかしい。
治療費や薬価が安いからこそ、仕事に専念できる。
そう考えるのが、日本人でしょう。
これが、戦後の廃墟から経済大国にまでなった日本の秘訣かもしれません。
 もしかすると、このような日本の制度を見て、
オバマ政権は、アメリカ版の国民皆保険制度であるオバマケアを推進したかもしれませんが、
治療費や薬価が高いままで、このような制度を導入すると、
やがて破綻することは、時間の問題だと思います。
なにしろ、ちょっとした手術でも、数百万円になってしまう場合があります。
それを保険請求されたら、こうした制度自体が、破綻します。
 だから、破綻が早いか、
それとも、制度自体を意地でも維持するために、
保険料は取られるが、受けられるサービスは低レベルにしてしまうか、
要するに、安かろう悪かろうの状態になるか、どちらかでしょう。
おそらく羊頭狗肉の医療保険制度改革になると思います。
 基本的に、政治とは、そういうもので、
政治家が作る「本」とは、
表紙は立派でも、中身はないものとなります。
 もちろん、こうしたことは、私が書くまでもなく、
多くのアメリカ人が気づいてしまったことです。

帝国の黄昏 2014 11 15
 アメリカ版の国民皆保険制度であるオバマケアが、
アメリカの命取りとなるでしょう。
つまり、明白な失敗となるです。
 それは、すでに国民皆保険制度がある日本と比較すれば、
その理由が、よくわかるでしょう。
 こうした制度を導入する前に、
つまり、国民皆保険制度を導入する前に、
前提条件があります。
 日本の場合は、治療費も薬価も、
政府が決めていますので、低価格、つまり安いのです。
その上で、国民皆保険制度が導入されているのです。
 もし、高い治療費や高い薬価のままで、
国民皆保険制度が導入されれば、
こうした制度が、やがて崩壊するのは、自明の理です。
 まず、治療費や薬価を大きく引き下げてから、
オバマケアを導入すべきだったのです。
 アメリカでは、ちょっとした手術でも、数百万円になってしまい、
日本人が驚くような価格です。
 歴史が語るとおり、
帝国は、内部から崩壊する。
その原因は、オバマケアだった。
後世の歴史家は、そう書くでしょう。







































































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